年間100人以上の30代転職希望者を面接してきた私が、正直に言います。
「30代でキャリアアップしたい」と言いながら、実際にできる人は3割もいません。
残りの7割は、同じような失敗を繰り返して、年収が上がらないどころか下がっていきます。
この記事では、採用担当として見てきた「30代で転職に失敗する人の3つの致命的ミス」を、具体的な事例とともに解説します。
なぜ30代の転職は失敗しやすいのか
20代とは全く違う評価基準
20代の転職:
- ポテンシャル重視
- 未経験でも採用される
- 失敗しても次がある
30代の転職:
- 即戦力が絶対条件
- 未経験はほぼ不可能
- 失敗すると取り返しがつかない
採用担当が見てきた現実
私が面接してきた30代の候補者の多くが、次のような状況に陥っています:
❌ 年収アップを期待して転職したが、実際は変わらない(むしろ下がる)
❌ 「即戦力」として採用されたが、期待に応えられず試用期間で退職
❌ 転職を繰り返すうちに、どんどん選択肢が狭まる
❌ 40代を目前に、キャリアの袋小路に陥る
本当の問題は、自分の「市場価値」を正しく理解していないことです。
30代で転職に失敗する人の3つの致命的ミス
年間100人以上の30代と面談してきた中で見えてきた、失敗する人の典型的なパターンを3つ紹介します。
【致命的ミス1】「経験年数=市場価値」だと勘違いしている
ケース:35歳・営業職・Tさんの場合
Tさんの認識
- 営業経験12年
- 「これだけ経験があれば、年収700万円は当然」
- 転職で年収100万円アップを期待
面接での発言
「営業経験が12年あるので、御社でも即戦力として活躍できます」
面接官の本音
「12年も経験があるのに、実績が全く語れない…」
採用担当の本音
経験年数だけでは、市場価値はゼロです。
30代の採用で重視するのは:
- 具体的な実績(数字で語れるか)
- 再現性(他社でも活躍できるか)
- 専門性orマネジメント力(どちらかがあるか)
Tさんの問題点
実績を語れない
面接官「具体的な成果を教えてください」
Tさん「お客様との信頼関係を大切にして、売上に貢献してきました」
面接官(心の声)「それは『実績』じゃない…」
健全な回答例:
「担当エリアの新規顧客開拓を担当し、2年間で契約数を45社から78社に増やしました。売上は前年比165%の3億2千万円を達成しました」
数字がないと、何も伝わりません。
再現性を示せない
面接官「その成果は、御社の商品力によるものではないですか?」
Tさん「…確かに商品は良かったですが、私の営業力も…」
面接官(心の声)「再現性がない = 採用できない」
健全な回答例:
「商品力はもちろんありましたが、私は顧客の課題を丁寧にヒアリングし、カスタマイズ提案を行うことで、他の営業担当の平均成約率35%に対して、私は52%を達成しました。この課題抽出力とカスタマイズ提案力は、御社でも活かせると考えています」
専門性もマネジメント経験もない
Tさんの経験:
❌ 特定業界・商材の深い知識なし
❌ チーム運営の経験なし
❌ 戦略立案の経験なし
❌ 部下育成の経験なし
30代で専門性もマネジメント経験もないと、市場価値は極めて低いです。
Tさんのその後
結果:
- 希望年収700万円に対し、オファーは550万円
- 「経験を考慮すると、この金額が限界です」
- 結局、現職と変わらない年収で転職
- 入社後も期待値とのギャップに苦しむ
【致命的ミス2】マネジメント経験か専門性、どちらも中途半端
ケース:33歳・SE・Kさんの場合
Kさんの経験
- SE経験10年
- 「幅広く」経験してきた
- Java、Python、インフラ、フロントエンド、全部触った
- チームリーダーを「何度か」経験
Kさんの自己認識
「幅広い経験があるので、どんなプロジェクトでも対応できます」
面接官の本音
「どれも中途半端で、強みが見えない…」
採用担当の本音
30代で「何でもできます」は、「何もできません」と同じです。
30代の市場で求められるのは:
- 深い専門性(特定分野のエキスパート)
- マネジメント力(チーム・プロジェクト運営)
どちらか一方は必須です。
専門性が中途半端
面接官「得意な技術領域は?」
Kさん「Java、Python、インフラ、フロントエンド、全部できます」
面接官「その中で最も深い経験は?」
Kさん「どれも同じくらいですね」
面接官(心の声)「どれも浅いってことか…」
専門職として評価される基準:
- 特定技術で5年以上の実務経験
- 難易度の高いプロジェクトの実績
- 技術コミュニティでの発信
- 資格・認定の取得
Kさんは、どれも満たしていません。
マネジメント経験も中途半端
面接官「マネジメント経験は?」
Kさん「チームリーダーを何度か経験しました」
面接官「具体的には?期間、人数、成果は?」
Kさん「3ヶ月とか、半年とか…人数は2〜3人です」
面接官(心の声)「それは『マネジメント経験』とは言えない…」
マネジメント経験として評価される基準:
- 最低3名以上のチーム運営
- 継続的な運営(最低1年以上)
- 明確な成果(数字で語れる)
- 部下の育成実績
Kさんの「チームリーダー」は、単なるプレイヤーの延長です。
30代の分岐点を理解していない
30代前半(30〜34歳):
- ここでキャリアの方向性を決める
- スペシャリストかマネージャーか
30代後半(35〜39歳):
- 決めた方向性で実績を積む
- 中途半端は許されない
Kさんは33歳で、まだ方向性が決まっていません。
Kさんのその後
結果:
- 希望年収650万円に対し、オファーは520万円
- 「専門性もマネジメント経験も不足しているため、この金額です」
- 年収ダウンを受け入れて転職
- 入社後も「何ができるのか」が不明確で、評価されず
【致命的ミス3】面接準備が20代のまま
ケース:36歳・企画職・Mさんの場合
Mさんの面接準備
- 企業のホームページをざっと読んだ
- 「なぜ転職するか」は考えた
- 職務経歴書は前回のを少し修正
面接での発言
面接官「当社を志望する理由は?」
Mさん「御社の事業内容に興味を持ちました」
面接官(心の声)「…それだけ?」
採用担当の本音
30代の面接は、20代と全く違います。
20代の面接:
- やる気・熱意が重視される
- 「頑張ります」でも通る
30代の面接:
- 即戦力として何ができるかが全て
- 曖昧な回答は即不採用
志望動機が浅すぎる
NG回答(Mさん):
「御社の事業内容に興味を持ちました」
面接官の評価:
❌ 企業研究が不足
❌ 本気度が感じられない
❌ どこでも言える内容
OK回答:
「御社の○○事業が、今後5年で市場規模が2倍になると予測されています。私はこれまで△△業界で企画職として、新規事業の立ち上げを3件経験してきました。その経験を活かし、御社の○○事業の成長に貢献できると考えています。特に、私が前職で実施した□□施策は、御社の現在の課題である××の解決に応用できると考えています」
具体性と再現性、この2つがないと30代は評価されません。
実績を語れない
面接官「これまでの最大の成果は?」
Mさん「新商品の企画に携わり、チームで成功させました」
面接官「あなた個人の貢献は?数字で示せますか?」
Mさん「チーム全体での成果なので…個人の数字は…」
面接官(心の声)「何もしてないってことか」
STAR法で具体的に語る:
- S(Situation):どんな状況だったか
- T(Task):何を求められたか
- A(Action):あなたが何をしたか
- R(Result):どんな結果を出したか
OK回答例:
「前職では、既存商品の売上が前年比80%に落ち込む状況でした(S)。私は新商品開発のプロジェクトリーダーを任され(T)、顧客インタビュー200件を実施し、潜在ニーズを抽出。それを基に3つの新商品コンセプトを提案しました(A)。その中の1つが採用され、発売3ヶ月で売上5,000万円を達成、既存商品の売上減少をカバーしました(R)」
30代は、個人の貢献を明確に語れないと評価されません。
逆質問の質が低い
Mさんの逆質問:
「残業時間はどれくらいですか?」
「有給は取りやすいですか?」
面接官の評価:
❌ 労働条件ばかり気にしている
❌ 仕事への意欲が感じられない
❌ 20代の質問レベル
30代の逆質問:
✅「入社後、最初の3ヶ月で期待される成果は何ですか?」
✅「この部署の3年後のビジョンを教えてください」
✅「活躍している方の共通点は何ですか?」
✅「意思決定のプロセスはどうなっていますか?」
質問の質で、候補者のレベルが分かります。
Mさんのその後
結果:
- 書類選考は通るが、面接で全て落ちる
- 3ヶ月で15社応募、面接10社、全て不採用
- 「30代なのに準備不足」という評価
- 結局、年収ダウンで妥協して転職
採用担当が教える「30代で本当に必要な3つの対策」
私が面談した人の中で、30代で成功している人には明確な共通点があります。
対策1:市場価値を「数字」で把握する
勘違いしている市場価値:
❌ 経験年数が長い = 市場価値が高い
❌ 大企業出身 = 市場価値が高い
❌ 忙しい = 市場価値が高い
本当の市場価値:
✅ 数字で語れる実績がある
✅ 他社でも再現できるスキルがある
✅ 専門性またはマネジメント経験がある
市場価値を確認する方法
1. 転職エージェントに聞く(最も正確)
聞くべきこと:
- 「私の経験で、どれくらいの年収が妥当ですか?」
- 「同じ経験の人は、どんな企業に転職していますか?」
- 「私のスキルで不足している部分は何ですか?」
エージェントは、あなたに不足しているものを教えてくれます。
2. 同職種の求人票を100件見る
確認すること:
- 年収レンジ
- 必須要件
- 歓迎要件
自分が当てはまる求人がどれだけあるかで、市場価値が分かります。
3. 実績を数字で整理する
整理すべき項目:
- 売上・利益への貢献額
- 業務効率化の成果(時間・コスト削減)
- マネジメントしたチームの人数と成果
- プロジェクトの規模(予算・期間)
数字で語れない実績は、実績ではありません。
対策2:専門性かマネジメント、どちらかを選ぶ
30代前半(30〜34歳)で決断する
パターンA:スペシャリストを目指す
必要なこと:
- 特定分野に絞る(「何でもできる」はNG)
- 継続的な学習(資格・認定の取得)
- 外部発信(ブログ・勉強会・登壇)
- 高難易度プロジェクトへの参加
年収レンジ:
700万円〜1,500万円(分野による)
向いている人:
- 技術・専門知識が好き
- マネジメントより実務が好き
- 継続的に学習できる
パターンB:マネージャーを目指す
必要なこと:
- 最低3名以上のチーム運営経験
- 予算管理の経験
- メンバー育成の実績
- チームでの成果(数字で語れる)
年収レンジ:
600万円〜1,200万円
向いている人:
- 人を育てるのが好き
- リーダーシップがある
- 戦略思考ができる
どちらか一方を選び、そこに集中することが、年収アップの唯一の道です。
対策3:面接準備に最低20時間かける
30代の面接準備は、20代の3倍必要です。
準備項目チェックリスト
企業研究(5時間)
- 企業の事業内容を深く理解
- 決算情報・IR資料を読む
- 競合他社との違いを理解
- 業界トレンドを把握
- 企業の課題を特定
職務経歴書の作成(8時間)
- 実績を全て数字で整理
- STAR法で各実績を記述
- 志望企業の求める人材像に合わせてカスタマイズ
- 第三者にレビューしてもらう
- 音読して違和感がないか確認
想定質問への回答準備(5時間)
- 「なぜ転職するか」を3パターン用意
- 「最大の成果」をSTAR法で準備
- 「失敗経験」とそこからの学びを準備
- 「マネジメント経験」を具体的に準備
- 「5年後のキャリア」を明確に準備
逆質問の準備(2時間)
- 事業戦略についての質問×3
- 組織・チームについての質問×3
- 期待される成果についての質問×3
- 評価制度についての質問×2
20時間かければ、面接の通過率は劇的に上がります。
30代で失敗する人の心理的特徴
採用担当として、もう一つ気づいたことがあります。
30代で失敗する人には、ある心理的な傾向があります。
特徴1:「経験があるから大丈夫」という過信
「10年も経験があるんだから、転職なんて余裕でしょ」
これが最大の落とし穴です。
30代は経験年数ではなく、実績と再現性で評価されます。
特徴2:「今の会社が悪い」という他責思考
「うちの会社は評価制度がおかしい」
「上司が無能だから成果が出ない」
面接官は、この思考を即座に見抜きます。
他責思考の人は:
- 入社後も環境のせいにする
- 成果が出ない
- すぐに辞める
誰も採用しません。
特徴3:「とりあえず転職すれば何とかなる」という楽観視
「今より良い会社に行けば、年収も上がるでしょ」
30代の転職は、準備が全てです。
楽観視している人:
- 企業研究が不十分
- 職務経歴書が雑
- 面接準備をしない
結果:どこからもオファーが来ません。
成功した30代の具体例
最後に、実際に成功した30代の事例を紹介します。
成功例:34歳・マーケティング・Sさん
状況
- 年収500万円(前職)
- マーケティング経験7年
- 年収アップを目指して転職
Sさんがやったこと
1. 実績を数字で整理
- 新規顧客獲得:前年比145%(年間360社→522社)
- マーケティング予算の効率化:ROI 2.8倍に改善
- 3名のチーム運営:メンバー全員が目標達成
2. 専門性を磨いた
- Google広告認定資格取得
- マーケティングの勉強会で登壇
- 業界メディアに寄稿
3. 徹底的な面接準備
- 企業研究に10時間
- 職務経歴書を5回書き直し
- STAR法で実績を整理
- 想定質問20個への回答を準備
結果
- 年収650万円でオファー(+150万円)
- マーケティングマネージャーとして採用
- 入社後も期待通りの成果を出し、1年後に年収720万円に
まとめ:30代で失敗しないために
30代で転職に失敗する人の3つの致命的ミス:
-
「経験年数=市場価値」だと勘違いしている
- 実績を数字で語れない
- 再現性を示せない
- 専門性もマネジメント経験もない
-
マネジメント経験か専門性、どちらも中途半端
- 「何でもできます」は「何もできない」
- 30代前半でキャリアの方向性を決める
- どちらか一方に集中する
-
面接準備が20代のまま
- 志望動機が浅い
- 実績を語れない
- 逆質問の質が低い
30代で成功するために必要なこと
- 市場価値を「数字」で把握する
- 専門性かマネジメント、どちらかを選ぶ
- 面接準備に最低20時間かける
30代の転職は、人生の大きな分岐点です。
失敗すると、40代でキャリアの袋小路に陥ります。
焦らず、戦略的に、徹底的に準備することが成功の鍵です。
さらに詳しく知りたい方へ
30代のキャリアアップ転職の具体的な戦略については、はてなブログ「Life Career」の記事も参考にしてください:
【30代向け】キャリアアップ転職の成功法|年収・ポジションを上げる具体的戦略
こちらの記事では、成功するための具体的な戦略を網羅的に解説しています。
Life Career Hubは、採用担当の本音として、30代のキャリア転換で失敗しないための実践的な情報を発信しています。

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